10000円札、二枚で紙ヒコーキ折って賽銭箱に飛ばしたら怒られた。
ふとした瞬間にお金というものがどうでもよくなる時があるんですよね。ありま千円?価値あるものが急に馬鹿らしくなるんですよ。これ、ぼくの性だと思うんですよね。吉良吉影の殺人衝動みたいな?いきなり感情が隆起して、気が付いたらホームレスの空き缶にぶち込んだり、醤油に漬けて食べたりしてます。
こんな事をしてるからか、ママンからコロナ給付金の10万円は一銭たりとも貰えませんでした。「あんたに渡すと碌なことならない」って。親をまた失望させてしまった。
この悪癖でやってきたことをだらだら語ると一冊のノンフィクション小説が出来上がるので、割愛します。今回話すのは、今年の五月に治まらなくなって、紙ヒコーキを折って投げた話ですね。
その時はコロナで大騒ぎの最中のある日で、朝起きたらすぐに「あ~いつもの感じするな~」ってぼんやり受け止めて、焼いたお餅に千円札巻いてご飯食べたら、コンビニのゆうちょで一万円札5枚を下ろして、近場のちょっと大きな神社まで足を運んだんです。
「無駄遣いしたろ」ってね。
神社に着いたら売店にあるお守りを片っ端から全部買って、無造作に鞄に詰め込みました。もちろん、おつりは全部「納めて下さい」とにんまりと笑って突き返しました。
そしていよいよ今回のメインイベント。あの時は完全にハイになってて、絶対狂った方法で賽銭箱にお金を入れてやろうって意気込んでて、ビール缶片手に境内に座り込んでさんざん推敲したんですよ(アピール)
斜陽になった頃合いに「これ折って紙ヒコーキにして飛ばして入れたら、神様喜ぶんじゃね?お布施の高速宅急便みたいな?」てな感じでアイデアが脳裏を過ぎって、思い立ったら吉日。売店でセロハンテープ借りて、1万円札二枚を繋げて概ね正方形にしたら、すぐさま折って紙ヒコーキにしてやりました。
これで準備万端です。あとは賽銭箱に向かって一直線に投げるだけ。箱から十メートルくらい離れた場所から、意気揚々と飛ばします。「神様、待っててね」と心の中は愛で満ちていました。
「バスッ」
力を入れすぎたのか、先が尖りすぎていたのか、定かではありませんが僕の折った紙ヒコーキは神社の障子に見事に直角に突き刺さってました。突き刺さると同時に中から「コラァっ!誰じゃ神社を荒らす者はっ!」って白髪のおじいさんが安酒のカップ片手に現れました。ハイになりすぎて神主を神様だと誤認したぼくは「ほ、ほぇ~!神様は本当にいたんだ!」と跳びかかろうとすると、おじいさんに腕を掴まれて石畳の上で説教スタートです。
二万円の利益は酔ったおじさんの説教一時間コースでした。
くどくどと同じような話を延々と繰り返すうちに正座の疲れで、消化しきれずに半溶けになった千円札混じりのゲロをぶちまけてました。それを見た神主のおじいさんは「も、もうこれ以上お前の賽銭はいらん!帰れ!」と叫んで警察を呼ばれ、そのまま署まで連行されて幕切れです。
以上が五月に、この異常な癖が出た時の話でした。嘘みたいな話でしょ?嘘ですよ。
さよなら。